1.カメラといえば 、フィルム

フィルムカメラの面白さは、一言で言えば「自分の手で、その場で写真を作る」こと。 デジタルだったら、ただシャッターボタンを押すだけで、鮮やかな写真が撮れるかもしれない。だが、機械式のフィルムカメラは、いわばマニュアル。ピントを合わせたり、取り込む光の量や時間を調節したり、それらのことを全て自分の目と指先を使って、感性を研ぎ澄ませて撮影を行うのだ。ファインダーから窺える目の前の光景と1対1で対話をする、こうしている時間が写真を撮る楽しみの原点だと私は思う。

 

https://dc.watch.impress.co.jp/docs/column/akagi/1536737.html

私が高校時代に愛用していたカメラはニコン FM という 70年代 終わりに発売された機械式のフィルムカメラである。(上記写真) 当時は、コンパクトニコンと言われ、その小ぶりな姿から機動性の優れた便利なカメラと評価された。 確かに無駄な機能が一切なく、 大変シンプルで美しいデザインをしている。 これは現代でも評価されているところで、 ニコンの現行機種に Nikon FM シリーズを模した大変クラシカルな雰囲気を醸したミラーレスカメラがある。 こうしてみると、フィルムがデジタルにさらに、ミラーレスに進化している昨今、 古くも良いものは良いと評価されているようで、流石ニコンと嬉しくなる。

 

ところで最近は、ミラーレス一眼というものを身内から借りて初めて試してみた。 手に持ってみた 印象は、おもちゃか なと思えるくらいの軽量さである。それは フィルムから 持ち替えたのだから、当然であるが、やはり 重さというものは 撮影に与える影響が大きく、こうも軽いと撮影している実感がわかないのだ。しかし 時代には逆らえず、フィルムの値段もいよいよ高騰し、シャッターの重みが随分とのしかかるようになってしまった。 だが ミラーレス なら気軽にシャッターをバシバシ切ることができる。気兼ねなく写真を量産できるというのは何とも画期的で、一個人で撮影を楽しむ分には フィルムでも良いのだが、 団体で行動したり移動中の最中、じっくりと腰を据えて写真と対峙する時間が取れない時は、枚数で質を稼ぐという荒業に打って出なければならない 。まるで時間のない現代人のニーズに応えるかような進歩をこのカメラで実感した。一方、ミラーレスカメラも現代のテクノロジーが小さな筐体に詰め込まれた科学の粋であるので、それをエンジニアでもない庶民が手にとって味わえるのは感慨深いものである。私もこれからはこのカメラと徐々に仲良くなっていきたいと思っている次第だ。

スマホで手軽に写真が撮れる時代だが、写真は 作品 、カメラは伴侶、撮影はただ写真を撮る手段ではなくその行為自体に価値が思われ、この3つが合わさって初めて撮影の楽しさに至る。だから私はカメラを手放さない。これからも 光学 レンズを通して、見知らぬ世界に焦点を当てていきたいと願う。